博士後期課程


博士後期課程の
特色


心理学専攻博士後期課程は、「心理学分野」「臨床心理学分野」「教育発達心理学分野」をカリキュラムの柱とし、それぞれの分野における研究者および実践家の指導者の養成をめざします。3つの分野における特別演習科目に加え、特別講義科目を修得することにより、学生の個別専門的な研究に偏らない広い研究的視野の形成をねらいとしています。これらの博士後期課程担当教員はすべて博士号を有する専任教員を配置し、充実した研究指導を行っています。

博士後期課程の特色

心理学専攻博士後期課程は、「心理学分野」「臨床心理学分野」「教育発達心理学分野」をカリキュラムの柱とし、それぞれの分野における研究者および実践家の指導者の養成をめざします。3つの分野における特別演習科目に加え、特別講義科目を修得することにより、学生の個別専門的な研究に偏らない広い研究的視野の形成をねらいとしています。これらの博士後期課程担当教員はすべて博士号を有する専任教員を配置し、充実した研究指導を行っています。

これまでの学位取得者の論文とテーマ

島内 晶(学位取得 2010年3月)

論文テーマ

「高齢者の記憶の歪曲と変容に関する研究
─ DRMパラダイムを用いた虚偽記憶の実験的検討およびメタ記憶との関連性 ─」

研究内容

本研究では,高齢期に増加する記憶の失敗経験のうち,「間違って覚える」という現象を実験により検討すること,およびこうした失敗経験が影響すると考えられるメタ記憶と虚偽記憶の関係を検討することを主な目的として行った。
「間違って覚える」という現象について,本研究では虚偽記憶(false memory)としてとらえた。この測定にはDRMパラダイムがよく用いられる。本研究でも,この方法を用いて,従来,明確ではなかった遅延再認で虚偽記憶の生じるプロセスおよびその低減効果を検討した。一方,高齢者のメタ記憶研究では,実際の記憶成績とメタ記憶の得点に相関関係は認められないことが多い。むしろ,メタ記憶の得点には,高齢期における知的活動への意欲などの記憶能力への信念が影響していると考えられる。本研究では,日常の行動レベルに表れた記憶の自信度(メタ記憶)を測定できる尺度を開発し,社会参加度(意欲)および正記憶,虚偽記憶の成績との関係を検討した。

北風菜穂子(学位取得 2012年3月)

論文テーマ

「デートレイプの判断に影響を及ぼす要因:レイプ支持態度および男女差の検討を中心として」

研究内容

本研究では、「二人の内どちらか一方、もしくは両方が相手に対して恋愛感情を持っている関係におけるレイプ」をデートレイプと定義した。ある状況に対するデートレイプであるかどうかの判断に影響を及ぼす要因について、特にレイプ支持態度と男女差の観点から検討を行うことを目的とした。【研究1】ではデートレイプ状況の判断の男女差について明らかにし、【研究2】ではレイプ支持態度とデートレイプ状況がデートレイプの判断に及ぼす影響について明らかにした。【研究3】ではレイプ支持態度と回答者の立場がデートレイプの判断に及ぼす影響について、【研究4】では、デートレイプの判断に対する教育的介入の効果を明らかにした。この結果から、レイプ支持態度の変容のために行う予防教育が非常に重要であること、男女差に配慮した介入の重要性が示唆された。

飯田敏晴(学位取得 2013年3月)

論文テーマ

「エイズ相談促進の為の健康信念モデルに基づいた検討」

研究内容

本研究は、ヒト免疫不全ウィルス(HIV)感染への二次予防の観点から、青年の電話相談、保健所、医師へのエイズ相談の利用を促進するために、健康信念モデル(Becker, 1974)に基づいた検討を行ったものである。研究では,5つの質問紙調査および1つの実験を行った。HIV感染の重大性を測定する新たな指標として、HIV感染想定時の自己イメージを概念化し、尺度開発を行った(調査1から調査4)。この重大性の指標に、HIV感染の生起確率認知(罹患性)、エイズ相談実行の「利益性」と「負担性」の各指標を加えて、各専門家へのエイズ相談意図との関連を性別に検討した(調査5)。その成果に基づいて、性差に応じた予防的介入法を検討した。実験では、視聴覚教材を用いて青年を対象とした予防的介入を行い、その効果を検証した。以上の結果に基づいて、エイズ相談の利用を促進するための介入方法を検討した。

榊原佐和子(学位取得 2013年3月)

論文テーマ

「恋人への暴力生起に関わる認知要因:「デートバイオレンス加害モデル」に基づく検討」

研究内容

恋人関係における暴力である「デートバイオレンス」に関する研究や予防介入が実施されてきているが、それらは何らかの理論モデルに基づいたものでないことが先行研究展望から明らかになった。そこで、本研究では認知に焦点を当てたデートバイオレンスの加害に至る過程モデルである「デートバイオレンス加害モデル」を作成し、その有用性を質問紙法による量的研究により検討した。その結果、恋人の行動に関する解釈が喚起される怒りの強さに影響を及ぼしており、怒りが喚起されると恋人に対して攻撃したいという願望が生じ、デートバイオレンス加害という行動に至ることが明らかになった。またこの過程に対する「恋人関係規範」「デートバイオレンス受容態度」「怒りの反すう」の影響が明らかにされ、本研究で提示した「デートバイオレンス加害モデル」の有用性が確認された。さらに、今後の研究、予防介入、加害者への臨床的介入について示唆した。

上野まどか(学位取得 2013年9月)

論文テーマ

「心理臨床家の動機と心理臨床活動における困難および満足感との関連―志望動機のタイプ「苦悩型」と「消極型」に着目して―」

研究内容

心理臨床家の職業選択の背景に苦悩体験があると示す研究が多くみられ,そのような心理臨床家が,どのような臨床活動を行うのかについて議論されている。しかし,心理臨床家の志望動機についてまだ十分に明らかになっていないため,それを量的および探索的に検討した上で(研究1),苦悩体験を機に志した心理臨床家の臨床活動における体験を質的に検討した(研究2)。研究1では,心理臨床家志望動機尺度を作成・実施し,心理臨床家の志望動機のタイプを6つに分類した。そして,志望動機のタイプと属性(理論的志向性など)に関連があることを見出した。研究2では,苦悩体験を機に志したタイプの臨床家の臨床活動体験を質的に検討し,志望動機が低いタイプの臨床家の体験と比較した。さらに,動機や欲求が臨床活動や臨床家の個人的生活の側面にどのように関連し合うかについて質的に検討した。最後に,より効果的な心理臨床活動が行われるために必要な臨床家の態度や姿勢,制度について考察した。