教員プロフィール

教授
金沢 吉展(かなざわ よしのぶ)

所属

・心理学科
・心理学専攻博士前期課程 臨床心理学コース
・心理学専攻博士後期課程

専門領域

・心理療法 カウンセリング
・臨床心理士の発達と教育 訓練
・健康心理学
・臨床心理学の倫理

研究テーマ

  • セラピスト・クライエント間係の構築および心理療法の終結について

  • 効果的なスーパーバイザー・スーパーバイジー関係、効果的なスーパービジョンの方法について

  • がん患者の方々への心理的援助

  • 心理職の発達について

  • 研究指導内容

     私のゼミにおいては、主として3つのテーマについて研究を行っています。ひとつは健康心理学領域、特にがんなどの身体疾患に関わる心理的な事柄やストレスに関する事柄(診断名の告知に関わる事柄、疾患への対処など)、2つめは心理職自身に関する事柄(リアリティショック、心理職を目指す動機など)と心理職の教育訓練に関わる事柄(スーパービジョンなど)、もう一つは心理療法のプロセスと効果に関わる事柄(セラピスト-クライエント関係など)です。いずれも日本の臨床心理学領域においては取り上げられることの少ないテーマであると思います。公認心理師資格がスタートした今日、心理職に求められる事柄は幅広く、また、心理職による援助の効果を示すことの必要性も一層増しています。そのような時代にふさわしい心理職を養成することは、大学・大学院にとっての大きな責任であると考えています。

     臨床心理学はもともと、精神科領域から発展いたしましたが、今では身体諸科においてもその活躍が求められています。病気に罹患することによる不安や死に関わる問題は誰でも経験することであり、また、生活習慣病への対応や予防も私たちにとっての大きな課題です。

     セラピスト-クライエント関係は心理職が行う援助の基本となるものであり、セラピスト-クライエント関係が心理療法の効果に及ぼす影響は、様々な心理療法の技法による効果よりも大きいことが研究によって示されています。セラピスト-クライエント関係の重要性を考えると、心理職がどのようにして効果的な援助関係を構築し維持することができるのか、それには心理職自身の要因とクライエントなどの要因がどのように関わっているのかを知る必要があります。そして、心理職の教育を効果的に行う方法についても吟味していくことが求められます。

     大学・大学院は研究だけではなく、教員や他の学生たちと関わることによって人間としても成長し、人とのつながりを得る大切な場です。皆さんも是非そのような場を得ていただくよう願っております。

担当授業

【 学部 】

  • 健康・医療心理学

  • 心理学演習1A

  • 心理学演習1B

  • 心理学演習2A

  • 心理学演習2B

  • 公認心理師の職責

  • 心理演習

【 大学院 】

  • 臨床心理学特論A

  • 臨床心理特論研究1

  • 臨床心理特論演習2

  • 特別演習

  • 臨床心理特論研究2

  • 心理実践実習Ⅱ

  • 心理実践実習Ⅳ

  • 臨床心理実習Ⅰ(心理実践実習Ⅴ)

  • 臨床心理実習Ⅰ(心理実践実習Ⅶ)

  • 心の健康教育に関する理論と実践

  • 臨床心理学特論B

  • 臨床心理実習Ⅰ(心理実践実習Ⅵ)

メッセージ

身体的な病気と心とはどのように関連しているのか、カウンセリングを効果的に進めるにはどのようなことが必要なのか、優れた心理専門職になるためにはどのような教育訓練が必要なのか。そんなことに興味を持った方は是非おいでください。

経歴

米国テンプル大学大学院博士課程修了、Ph.D.(Counseling Psychology)
米国テンプル大学カウンセリングセンター・カウンセラー、米国バージニア医科大学精神科臨床心理インターン、上智大学カウンセリングセンター・カウンセラー、筑波大学心理学系助教授・同大学保健管理センター学生相談室カウンセラー等を経て、2002年より現職。

取得資格・所属学会

  • 臨床心理士、公認心理師

  • 日本心理臨床学会

  • 日本学生相談学会

  • 日本カウンセリング学会

  • 日本心身医学会

  • 日本健康心理学会

  • 日本応用心理学会

  • American Psychological Association  (アメリカ心理学会)

  • American Counseling Association (アメリカカウンセリング学会)

  • Society for Psychotherapy Research

代表的な論文・著書名

  • 臨床心理学の倫理をまなぶ(単著)

  • 心理学の実践的研究法を学ぶ (臨床心理学研究法 第 1巻)(共著)

  • カウンセリング・心理療法の基礎(有斐閣)(編著)

  • 「よくわかるコミュニティ心理学[第3版]」(共著)

  • 「ライブラリスタンダード心理学10 スタンダード臨床心理学」(共著)

  • 「心の専門家が出会う法律[新版]」(共著)

  • 「公認心理師必携 精神医療・臨床心理の知識と技法」(共著)

  • 「公認心理師の基礎と実践 第1巻 公認心理師の職責」(共著)

  • 「公認心理師の基礎と実践 第4巻 心理学研究法」(共著)

  • 「公認心理師必携テキスト」(共著)

  • 「公認心理師現認者講習会テキスト[改訂版]」(共著)

  • 「公認心理師技法ガイド」(共著)

  • 公認心理師のための「基礎科目」講義 (臨床心理フロンティア) (共編著)

  • 「健康・医療心理学」(編著)

  • 金沢吉展(2015).臨床心理士養成のための大学院付属実習施設におけるスーパービジョンに関する調査.心理臨床学研究、33、525⁻530.

  • Yoshinobu Kanazawa & Shigeru Iwakabe (2016). Learning and difficult experiences in graduate training in clinical psychology: A qualitative study of Japanese trainees’ retrospective accounts. Counselling Psychology Quarterly, 29, 274-295. DOI: 10.1080/09515070.2015.1033383

  • Clara E. Hill, Yoshi Kanazawa, Sarah Knox, Iris Schauerman, Darren Loureiro, Danielle James, Imani Carter, Shakeena King, Suad Razzak, Melanie Scarff, and Jasmine Moore (2015). Meaning in life in psychotherapy: The perspective of experienced psychotherapists, Psychotherapy Research,  27:4, 381-396, DOI : 10.1080/10503307.2015.1110636.

  • Naama Shafran, Kathryn Kline, Ellen Marks, Shudarshana Gupta, Kristen G. Pinto-Coelho, Yoshinobu Kanazawa & Clara E. Hill (2019). The final session of psychodynamic psychotherapy for satisfied and unsatisfied clients who initiate the end of treatment, Counselling Psychology Quarterly, DOI: 10.1080/09515070.2019.1635435

  • 金沢吉展・上野まどか・横澤直文・中山愛美(2020)「臨床心理面接におけるカウンセラー・クライエント関係に関する研究-カウンセラー・クライエント両者の体験の質的分析-」 心理学紀要(明治学院大学)、30、13-26.

趣味・特技

  • 鉄道

  • カメラ

  • ミュージカル

  • クラシック音楽

学生との思い出で、印象に残っていること

卒業生(修了生)たちから、結婚式の招待状や“おめでた”のニュースをいただくこと。学生が卒業・修了後もこうして成長を続けている姿にふれることができるのは、大学教員として大変な幸せと思っています。卒業・修了した後も皆さんと連絡をとり続けることができる、そんな関係を作っていきたいと思っています。