先生への質問

はじめまして。
わたしはこの大学に2013年12月1日に着任したばかりの“新人”です。なので、まだ、この文章を書いてくれるゼミ員の人もいません。
そこで、このページでは、自己紹介をしようと思います。
専門分野は国語科教育学です、国語科の学習指導に関することすべてをテーマにしています。過去の国語科についても研究していますが、一方で未来にも関心があります。とりわけ、次のステージに相当するコンテンツとして、メディア・リテラシー(メディアの『読み書き』)に注目しています。
下の写真はオーストラリアの高校生用の『メディアの表現と分析』の教科書の1ページですが、ここでは5枚の顔写真をもとに、架空の新しいテレビドラマに登場する人物の役名とキャラを考えさせようとしています。これは写真から活動に入っていますが、テレビドラマにおける「物語」の諸知識を使って考えさせようとする点で、国語の発展型と捉えることができます。ちなみに一番左の男が、ちょっと若い時のわたしで、その隣はお世話になった研究者のお孫さんです。

わたしは大学院修了後、東京都立府中工業高校で国語教師として11年間働きました。高校時代を『受験校』で過ごし、暗記中心のいわゆる『受験国語』があたりまえだと信じ切っていたわたしは、教える立場になって、生徒諸君との交流のなかで、実はそれがあたりまえどころか、大変に歪んだものであることに気づくことができました。
貯金じゃあるまいし、知識を増やすだけで満足していていいのか。何よりも、ことばは単なる道具ではありません。「私そのもの」のありように直結し、人間の認識や思考を左右する大事な存在です。その育成に関わった教科が国語科であり、教科の学習として取り上げるべきことはたくさんあるのに、ほんの一部を、生徒が興味を感じられないようなつまらない方法で教えていていいのだろうか。
こうした発見から出発して、実践的な研究を積み重ねてきました。その一端が認められてある学会から研究奨励賞をいただけたことは、激務の合間に細々と研究を続けていた身には大きな励みになりました。武者修行の心意気で、いろいろな研究会にも参加しましたが、そこで小学校の先生方の研究発表から多くを学ばせていただいたことは、後にありがたい財産となりました。
縁に恵まれて、2000年4月、群馬大学教育学部に着任して、小・中・高等学校教師の養成に従事してきました。ゼミ員をはじめとして卒業生・修了生の多くは、いま、若手のリーダーとして第一線で活躍しています。県内の研究会等で彼らが鋭い発言をしているところに立ち合ったり、彼らの評判を聞いたりするのが、わたしにとっては何よりの喜びであります。群馬には13年と8ヶ月お世話になりました。
四捨五入すると教師生活25年目にして、この大学に来たわけで、わたしとしては、これから皆さんとどんな出会いがあるのか、ワクワクしているところです。
ゼミの学習内容・活動内容
「小学校の国語の授業」と聞くと,あなたは何を思い出しますか? 「くじらぐも」「ごんぎつね」といった文学教材でしょうか。それとも,漢字の書き取りや作文が大変だったことでしょうか。好き? それとも,きらい? あなたがそう反応するようになったのは,なぜなのでしょうか。
このゼミでは,教科書教材等を手がかりにして国語科としてのあり方を多角的に検討したり,小学校等での授業参観を手がかりにして学習活動における多様な交流について分析したりするとともに,その土台を成している基礎理論との往還によって,基礎から着実に研究を進めていきます。各自が研究した成果をもとに,模擬授業や研究授業を行う機会も持ちます。
求める学生像
国語科が好きで(成績のよしあしにもまして,好きかどうかがポイント),子どもたちにことばのすばらしさやおもしろさ,不思議さを伝えたいといった熱意のある方を歓迎します。
先生からひと言
来年はこのページを初代のゼミ員の方が書いてくれることでしょう。もしかしたら、それはいま、このページを読んでくださっているあなたかもしれません。
どうぞ皆さん、ことばと出会い、世界を広げていってください。