授業紹介


Class
introduction


理解を深めるための講義科目を多数開講

教育発達学科では、実践的な学びと実社会で役立つスキルの修得を重視し、さまざまな授業を行っています。
その中から、授業の様子をいくつかご紹介いたします。

Class introduction

理解を深めるための講義科目を多数開講

教育発達学科では、実践的な学びと実社会で役立つスキルの修得を重視し、さまざまな授業を行っています。
その中から、授業の様子をいくつかご紹介いたします。

国語(1年次)

中村敦雄 教授
この授業では、ことばに関わるユニークな教材が授業では取り上げられています。受講生は教材で扱われている問題について考え、友だちと意見交換をして、楽しみながら学びを深めています。

第一回目は、とあるアニメーション作品が取り上げられていました。

短いストーリーを楽しんだところで、中村先生が問いかけました。「この人たちは男性? 女性? で、それはなぜ?」

特に気にかけていなかった人が多かったようですが、改まって聞かれると困ってしまいます。受講者は、見つけたいくつかの手がかりをもとにして自分の考えをシートに書き込み、近くの人たちと意見交換。自分にはあたりまえだと思っていたことが、他の人にはあたりまえではなかったことが分かり、教室には驚きの声があがりました。

「国語を教える教師にとって、解釈は大事な基礎。学んだ用語を自分のツールにして、自分自身や他の人の解釈過程を掘り下げて分析的に考える力量を高めてほしい」と中村先生は考えているそうです。

算数(1年次)

辻宏子 教授
小学校算数科における4つの領域について、学習内容を数学的な面から分析し、理解することを目的とした授業です。自分自身が理解したことや、考えを適切に説明できるようになることが大切だと考えています。「どうして算数を勉強するの?」と聞かれた時に自分なりの言葉で説明できる先生になってほしい。そして、算数を学ぶ意味を考え直してほしいとも願っています。

今回は、携帯情報端末を使う授業の2回目です。

1回目の授業の際に、『「算数の授業で取り上げた領域」「算数・数学の領域」について問題を5問作成する』という宿題が出ていました。

はじめに、全員の問題がプリントで配布されます。その後、6人程度のグループごとに問題をよみ合わせていきます。

教育発達学科では話し合いを取り入れている授業が多くあるので、学生たちの話し合いはスムーズに進められていきます。グループでの話し合いの後は、クラス全体での共有を図ります。 複数のグループがピックアップしている問題について、解き方を考えたり、問題の意図を考えたりする中で、深く問題と向き合っていました。

辻先生は、「問題を自分で作って解決することは、自分自身の理解を深めることになります。“問題”とは何かを考えることは、心理学にも通じることです」と教えてくれました。また、「学生には、考える作業をたくさんしてほしいと思っているんだよね」と話してくれました。

図画工作(1年次)

手塚 千尋 准教授
この授業では、図画工作科の指導に必要な美術教育の考え方や造形に関する基礎的な知識や技能を習得することを目的としています。つくったり、鑑賞したりする演習形式に加えて、ディスカッションやプレゼンテーションすることを通して「Learning through Art=美術を通した学び」の意義について理解を深めていきます。

今回の授業は「色水で造形遊びをする」。机の上には既に、カラーインクやプラスチックカップなどが並べられています。

はじめに、これから取り組む活動の理論的背景についてレクチャーを受けます。図画工作科学習指導要領ではどのように説明されているのか、色水遊びを支えている色彩の理論はどのようなものかなど指導者に必要となる知識について学びます。

そして、いよいよ色水遊びがスタート。準備された三原色のカラーインクを少しずつ混ぜると、配合のバランスで様々な色がつくりだされます。机の上にはたちまち、カラフルな色水が並びました。

「できあがった色水を持って、屋外に出よう」と手塚先生。今度は、グループごとに建物の形や植木、ベンチなどの空間的特徴を生かした色水を並べる活動がスタートしました。手塚先生は、「自分がしっくりくる、いいなと感じられる並べ方や置き方を見つけられることが大切。それが、あなた自身の感性だから。図工に正解はない、“こたえ”はあなた自身の中にあるんだよ」と語りかけていました。

最後は、方々で活動していたグループの活動を共有するための発表会。スマートフォンやタブレットで記録した自分たちの活動やできあがったものを投影しながらプレゼンテーションしました。学生は、自分自身で感じ、考えて、試したことを言葉と画像で説明することで活動をふりかえり、グループ間で異なる活動の過程から表現の多様性や面白さを感じ取っているようでした。

音楽(1年次)

水戸博道 教授
音楽の仕組みや様式の違いを、さまざまな音楽活動を通して理解していくことを目的としています。

この授業では、「演奏すること」と「知識を学ぶこと」の2つを同時に学んでいきます。

まずは、「音楽を演奏すること」。水戸先生は、「ラとソの音しか使わず、しかも、ラで始まってソで終わる、4小節の曲を即興で作って下さい」と提示しました。学生はたて笛と鍵盤ハーモニカを手に、即興の演奏を始めました。その間、水戸先生はそれぞれの学生に声をかけながら、細かく指導をしていきます。

練習した後は、何人かのグループで順番に演奏して曲をつないでいきます。その後水戸先生からレクチャーがありました。「即興であっても、ある一定のルールにのっとっているんだよ、そうじゃないと、何の音楽かわからなくなってしまうからね」と、生活にも当てはまるような話をしてくれました。

最後は「知識を学ぶこと」。学生たちは、先生がホワイトボードに書いた2つの音をノートに写し、「この2つの音の間に、うえ側の音に全音の間隔になるように1つ音を付け加えて下さい」などの指示をうけて音階を作っていきます。出来上がった音階を水戸先生がピアノで弾きながら、「これは、民謡音階」「これは、琉球音階」などと教えてくれました。学生は、音階を目で見ながら、耳で聞きながら学んでいきます。

音楽の授業は一人ひとりの発表もあり、緊張感があります。水戸先生の言葉に励まされながら、音楽の仕組みを学んでいるようでした。

体験活動方法論(現:教育発達学方法論)(2年次)

体験活動を通じて生じた問題や課題について、討議を繰り返しながら問題解決を図っていく授業です。実際の経験の中から大学での学びのテーマを学生自らが発見して学びを拭き編めることを目的とした必修授業です。

教育発達学科の2年生は「体験活動方法論」の授業の一環として、1年を通して週に1回横浜市内の小学校に支援が必要なお子さんに対して学習支援・生活支援をする学生スタッフとして通っています。学生それぞれの目標に応じた学習視点を持って活動に臨み、現場の経験から学びを深めています。

この日は、体験活動方法論の中間報告会でした。いつもは別々に小学校に行っている学生たちが一堂に会しました。

クラスごとに集まり、クラスアドバイザーの先生を交えて、それぞれの体験を語り合いました。友だちが話をしたことに対して、学生からも「私はこうしている」「こうしたらどう?」など、積極的に意見を出し合っていました。先生方は、学生がしっかり学ぶことはできているのか、困っていることはないのかなど、学生の話しのかじ取りをしながら、耳を傾けていました。

 体験活動は、これから1年間続いていきます。どんな学びをしていくのでしょうか。

教育課程編成論(2年次)

佐藤公 准教授
この授業では、学校教育における教育課程(カリキュラム)の基本的な概念を理解し、教育課程の意義と教育課程編成のための原理や制度、方法を獲得することを目指します。第1回目は、オリエンテーション。導入では「子どもの学習を成り立たせるために必要なモノ・コトとは?」をテーマにディスカッション。学生はグループになり、お互いの意見を交換します。ここからは、とてもにぎやかな時間。自分の経験や他者の意見を聞き、子どもの学習が成立する要件について考えを深めます。共通するところもあれば、異なる観点も出てきます。

最後は、グループごとに出てきた意見を、全体で共有。マイクを向けると少々戸惑いながらも、堂々と意見を述べてくれました。

音楽実技1(2年次)

水戸博道 教授
学校で行われる音楽の授業には、歌を歌うこと、楽器を演奏すること、音楽を作ることなど様々な活動が含まれます。そして、これらの活動を支えるのがピアノです。

教育発達学科すべての学生は「授業で使えるピアノの技能」を身につける、特にこの「音楽実技1」の授業では「ピアノが弾けるようになる」ことを目指しています。そのため、「課題曲」が提示され、ひたすら課題曲に取り組む半期でした。

「音楽実技1」は、「ピアノ経験者」と「ピアノ未経験者」の2つのクラスに分けられています。ピアノ経験者は、「ふるさと」「もみじ」、未経験者は「ゆうやけこやけ」「たきび」などの中から1曲を選び、弾き歌いにチャレンジしました。

水戸先生は、「小学校の音楽では、子どもたちが歌う伴奏をすることになるでしょ。弾き歌いをすると、子どもたちがどう歌っているのかに目を配ることができるようになるんだよ」と教えてくれました。

算数科指導法(3年次)

辻宏子 教授
1年の「算数」では基礎として実際に数学と向き合う講義であり、自分自身が理解したことや考えを適切に説明できるようになることを目的としています。これに対し3年の「算数科指導法」では学習内容を教育的な視点から追究する力を身につける授業であり、研究成果を踏まえて子どもが数や計算、図形などをどのように学んでいくのか、どのように教科書が構成されているのかなどを中心に学びます。そして学習内容が与えられたものではなく、子どもとともに作り上げていくものとして捉え授業が展開できる、子どもの思考のプロセスに寄り添うことができるようになることが大切だと考えています。

今回は、小学校算数科の「図形」について扱います。「図形」は、三角形や四角形などだけでなく、平行や垂直、合同など対象と対象の間にある関係について考えることも重要な内容として含んでいます。

授業は基本的に講義形式で進みます。その中で、「平行四辺形の定義って?」など辻先生はたくさん学生に問いかけます。知らないはずはないけれど、教材に対する深い理解に大きな壁を感じてしまう、算数科指導法はそんな時間のようです。

「今わからなければ学ぶ努力をすればいいだけ。そのことから逃げて、子どもの前に立つ方が怖い。一瞬しかないその子の時間を無駄にしてしまうから」とは辻先生の談。「教える仕事はそれが子供に対しても、大学生に対しても、本当に難しい。努力し続けることを忘れちゃいけないね、私も」と辻先生は笑っていました。